「お休みを頂いております」が使われた背景を想像してみる

誤った敬語の使い方の一つに、「お休みを頂いております」があります。

  • 休んでいる自社社員について話すのに、休みに「お」をつけている
  • 休みを「頂く」では、休みを与える側(会社)を立てた表現になる

これがおかしいとされる理由です。

たしかに、そうかもしれませんね。

講師の立場で言うなら、「休みを取っております」や「休んでおります」が望ましいです。

ただ、個人として言うなら、「お休みを頂いております」でもいいのでは…と思います。

違和感がなかった過去

私が社会人になった当時は、この表現が「普通」に使われていました。

興味深いのは、ご高齢の方にビジネスマナー研修をした際にも、同様の意見が複数みられたことです。

今より言葉遣いを大切にしていた時代に、誤った敬語を使っていたとは考えにくいですね。

中には「休んでおります」はぞんざいな言い方ではないか…と、戸惑われる方もいました。

それを機に「お休みを頂いております」と伝えていたのは、何か理由があってのことではないかと考えるようになったのです。

お客様は神様

もしかしたら、お客様に対する意識の違いなのかもしれません。

過去にある芸能人が発した「お客様は神様です」が名言になるほど、昭和はお客様に対する「おかげさま」の気持ちが強い時代でした。

名指しされた社員が休んでおり、お客様の要望に応えられない状況を、「休みを取っております」と伝えるのは失礼だと考えたのではないでしょうか。

恐縮した気持ちを込めて、丁寧に表したように思います。

あるいは、休みがとれる環境なのは、お客様がいるおかげと捉え、お客様が休みを与えているような表現にしたのかもしれません。

いずれにしても、意図してこの表現を使ったのではないかと想像します。

最後に…

現代は「win-win」という言葉がはやるように、提供する側とされる側は対等という考えです。

お客様は神様という言葉は、時代遅れなのかもしれませんね。

マナーは互いが心地よくいられるための知恵ですから、時代に合わせて調整されていくもの。

「お休みを頂いております」を、誤りとする流れも理解できます。

ただ、正確さも大切ですが、そこに込められた先人の心にも目を向けたいな…と思うのでした。